相変わらずの不眠症。ここで私の受験においては、学習法と同じくらい重要な要素となった不眠症について話したい。
8月以来、ただの一度も3時間以上の睡眠をとったことがなかった。
「眠れないのは仕方がない。あきらめてやるだけさ」と割り切れれば良いが、私はそんなに強くはなかった。
「どうしたら眠れるだろう」「こんなに疲れていて眠いのだから今日はきっと眠れる」
そんな思いを抱きながら床に就く。でもやはり、「早く寝なきゃ」「いや、寝ている時間はない」そんな真逆の焦りに襲われ、まったく眠れなかった。
勉強中も、すさまじい眠気と片頭痛に断続的に襲われ、「これはだめだ」と床について2時間、3時間・・・それでも眠れない。時間がもったいないので、英単語のCDをかけながら眠りに落ちるのを待つ。
毎日、とてつもなく眠いのに、覚醒状態で20時間以上過ごさなければならない。受験までの時間はもっと欲しいけれど、不眠状態で異様に長い1日を過ごすのはこの上なく苦痛。
時間に関してそんな相反する感情を抱いていた。
ただ、今にして思えば私は不眠症だったから合格できたと断言できる。
私は23歳までロクに勉強してこなかったので、とにかく勉強に関しては集中力が持続しなかった。せめて起きている時間の半分くらいは勉強しようと思っていたが、結果的に一日平均8時間くらいだった。それでも、私にしては時間を取れていた方で、もし健康的に7時間睡眠17時間活動で、大学に行きたいという前向きな動機だけであったら、私は1日5時間くらいしか勉強しなかっただろう。
不眠症で毎日20時間以上起きていたからこそ、不安や焦りや勉強してこなかった後悔がとてつもなく大きかったからこそ、集中力のない私でも8時間は机に向かえたのだと感じている。
勉強に話を戻すと、引き続き、①学力分析→②計画立案→③計画実行→①学力分析→②計画立案→・・・、の繰り返しだった。
「今、自分の得意、不得意分野はどこか」「志望校に向けては何をすべきか」「1日あたりどれくらいやれば間に合うか」
そういったことを常に考え、漫然と参考書を開くということはしないよう気を付けていた。この頃には学習の比重として、暗記と理解と演習がそれぞれ3分の1ずつのイメージだった。
11月以降生活していた平屋がものすごく寒く、ストーブのそばで震えながら机に向かい、洗髪は水道が凍っていない昼間の時間に台所の流しで行い、風呂は週1回、近くの民間プールの浴室で済ませていた。それ以外の日は濡れタオルで体を拭いていた。とても人様と会える状態ではなかった。
そんな世間と隔絶された環境で、目標に向かってというよりは、試験に落ちる恐怖から、独り机に向かっていた。
そうして年越しを迎えた。