9月、10月は黙々淡々と自分の学習計画を遂行していた。
自宅や図書館でひたすら一人で学習していたので、果たしてこのやり方でいいのか、自分がどれだけ力がついているのか、確認する術もなく不安になることもあった。
そんな時は学習法を見かえし、「どう考えてもこれしかないだろう」と、自身の方向性を再確認していた。そのように、合格に向け何をすべきか考え、計画を立て、実行に移す、を繰り返していた。
愚直な暗記は継続しつつ、だんだんと理解の領域が広がり、問題演習の数も増えていった。
9月の記憶としては、他に、とにかく不眠症がしんどかったという以外ほぼない。
10月には、ひとつ印象的な出来事があった。
大手予備校で、外部生も対象とした「MARCH対策講習」のような1日やりきり型の講座があったので、受けに行った。
日本史、国語、英語と、それぞれ過去問を解いた後、講師から解説があるという流れだった。解説の内容自体はこれといって印象に残るものではなかったが、英語の答え合わせの時間、ハッとすることがあった。
「exaggerateの同義語を①~④の選択肢から選べ」という問題。exaggerateは「~を誇張する」という意味の基本単語である。選択肢にある同義語も特段難しい単語でもなく、受験生なら普通に答えられるだろうと思っていた。ましてや、周りにいるのはMARCHを志望する受験生である。しかしながら、どうも周囲の雰囲気ではそこそこの人数が間違えているようだった。
それだけでなく、他の問題も「これは取って当然」と思えるものを周囲は結構取りこぼしているようだった。
「あれ?予備校生だからといって皆が出来るわけじゃないんだな。むしろ、丸付けの感じだと、この会場内じゃ自分はかなり出来る方じゃないか?」そんなことを感じていた。
そうして講座終了後の電車内、久しぶりに自分以外の受験生の中に身を置いたことから来る緊張感からの解放と、程よい疲労を感じながら、
「勝てるかもしれない!」
「このやり方で合っている!」
窓の外のビル群を眺めながら、自身の学習法に自信を深め、その手ごたえを噛みしめていた。