8月上旬 ―ハロー!不眠症―
8月第1週、既に申し込んでいた地元の予備校の数学夏期講習を受講した帰り、「文転しよう」と最終的に決断した。あまりの出来なさから数学への未練を断ち切ることが出来たし、やはり心理学以外にやりたいことがなかったからだ。
年齢的にもそれなりの大学は出ねばと、志望校は最低限MARCHとし、慶應法学部の友人に相談したところ、「これからだと寝る間も惜しんでやらないとだよ」とのこと。「そうか、やはり相当厳しいんだな・・とりあえず今日はもう寝て、明日から考えよう」。
・・・横になって少しすると、奇妙な感覚。「ドクン、ドクン…」自分の心臓の音が聞こえる。そのうちにその音がひどく気になり眠れなくなった。思えばこれが受験の終わりまで私を苦しめた(そして同時に成功に導いてくれた)不眠症の始まりだった。
数日後の全国模試、5月には読めた英文が再び暗号の羅列と化していた。
「なんだこりゃ、さっぱり分からん」
1カ月で身に付けた知識は3ヶ月お留守にしているうちにどこかへ行ってしまった。
得意の現代文も今一つ。古文・漢文、政治経済の学習はこの模試の後、ゼロからスタート。
「・・・大丈夫か俺!?」
8月中旬~下旬 ―restart,restudy 出来ることからコツコツと―
文転を決めて、まずは本屋へ行った。
そして、合格体験記を読み漁っていると「あれ、なんかみんな同じような本を使っているな」ということに気が付いた。
「とりあえずこのあたりの本を揃えればいいんだな」と英文法と英文読解、古文単語、古文文法の参考書を揃える。
政治経済は一問一答からスタート。
英単語と古文単語は一日あたりの個数を決めて確実に暗記。
英文法・英文読解と古文文法は一日ごとの区切りを決めて読み進め、政治経済の一問一答は一日あたりのページを決めたらその範囲は全て答えられるように繰り返す。
「思考するだけの頭は無いから、問題演習はやらない。まずは徹底的に知識の暗記」
「理解できそうなところはする、理解できないところはこだわらず跳ばす」
要するに「演習はやらない、理解は可能なら、暗記は確実に」という、一人でできそうなところから重点的に、というスタイルだった。
また、「時間管理ではなく量での管理」「ただ量をこなすのではなく、速答できるまでやりこむ」「毎日の学習は復習から」といったことを徹底した。数学での失敗を踏まえて、この頃には学習法というものを強く意識していた。
この頃から、地元の予備校へは顔を出さなくなり、毎日、隣町のコミュニティセンターまで足を伸ばし、そこでひたすら自習をするようになる(もともと予備校でも自習オンリーだったが)。
自分で決めた課題をただ黙々とこなす日々。それでも振り返ってみれば、学習初心者ながらこの時から受験に至るまで、ほぼ無駄な学習をすることなく、驚くほどに効率的に学習していたと思う。
こうして私の浪人生活第2章が幕を開けた。